セルフ・アブダクション
更新日:2026.10.5 Author: 長谷川 敦士
自分で書いたもの(文章・スケッチ・試作など)に対して、自分自身で新しい仮説をつくり出す思考のあり方。アブダクション(仮説形成)のきっかけを外部の観察や他者との議論に求めるのではなく、自ら書き出したものを、いわば自家発電的に自分自身への「ネタ」として提供し、そこから気づきと仮説を得る。
長谷川敦士が「アブダクション思考」のプロセスの中核として提示した概念。アブダクション思考は次の4ステップで進む。
- 自由になにかを書いてみる(文章でも、スケッチでも、試作でもよい)
- 自分の「書いたもの」から気づきを得る
- 「気づき」から課題の本質を考える
- 課題に対しての解決策を講じる
このうち、自分が書いたものから自分で新しい仮説を生み出す点(ステップ1→2)が「セルフ・アブダクション」にあたる。机に向かってじっくり時間をかけて考える、あるいは会議で複数人の議論を深めるといった、普段の仕事で一般的な考え方の流れとは異なり、まず手を動かして外に出したものを起点に考える点に特徴がある。推論形式としての基盤は、C・S・パースが演繹・帰納と並ぶ第三の推論として位置づけたアブダクションにある。
関連語:デザイン態度、厄介な問題、意味のイノベーション
出典
- 長谷川敦士(2026出版予定)「手で考える」
- Peirce, C. S. (1931–1958). Collected Papers of Charles Sanders Peirce. Harvard University Press.(アブダクションの原典)
- Dorst, K. (2011). The Core of ‘Design Thinking’ and its Application. Design Studies, 32(6), 521–532.(デザインにおけるアブダクション)
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